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夢を見ていた。
白い子犬と遊んでいる幼い自分。
楽しかった。
夏になるとお祭りがある山向こうの神社。そこで飼われていた白い子犬。
黒い大きな瞳。
体に似合わぬ大きなふさふさした尻尾が、跳ねるたび、ふわりと宙に舞う。
ちりんちりん、と俺が首に付けてあげた小さな銀の鈴が澄んだ音を響かせる。
「おいで――」
その自分の声で目を覚ました。
はっとして腕時計を確認すれば、30程経っていた。
くすくすくす。
その声にぎょっとして周りを見回すと、枕元に女の子が座っていた。
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