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年は、多分同じくらいだろう。
白いワンピースの色白の女の子。
長いストレートの明るい茶色の髪が、夏の日差しに透けて金色に見える。
真っ黒な大きな瞳が、楽しそうに俺を見つめていた。
「あ、すみません!」
飛び起きてあたふたと身繕いをする。
「ここら辺の人じゃないですよね?」
「山向こうに住んでいます」
「山向こうっていうと峰岸神社のあたり?」
「はい」
「へえ。あそこの神社のお祭り、毎年行くんですよ。もしかしたらすれ違っているかもですね」
「はい。あの……、私、巡と言います」
「あ、俺は、八雲。小泉八雲と言います」
彼女がクスリと笑った。
これも、怪談好きな親父の壊滅的な命名センスのせいだ。
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