その男、鬼か悪魔です!

32/32
402人が本棚に入れています
本棚に追加
/161ページ
 毎度毎度、私の扱い酷いと思うんですけど!?  と訴えても、相手はすでに廊下を歩いている音がする。  何なの一体。  どうして、まもちゃんってば「あぁ」なの!?    「絶対に……鬼と契約したんだ」  それしか考えられない。  「もしくは、悪魔に魂売ったとか」  どっちにしたって、私の身に起きている出来事に変わりはないけれど。  ということは、何か。  私がしたのは就職じゃなくて、悪魔の弟子入り!?  やだやだっ。  私がしたのは再就職だってばっ。  なんてことを胸に近いつつ、両頬をぺしりと両手で叩いてから、部屋の中を見渡して今日のセットの確認をした。  今日は6名の会食。  お料理は、一番高い特別懐石。  そのお値段、20,000円也。  ――高い。  その上、ここからさらにドリンク代が上乗せされる。  そんな高いものを自分が提供する側だと考えると、ちょっと空恐ろしい。  一体どんなお客様が来られるのだろう……なんてことを思いながら、ぐちゃぐちゃの頭を丁寧に整え直して、そっと部屋を出た。   
/161ページ

最初のコメントを投稿しよう!