第1章

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‥ オー子はブラインドの隙間から外を覗いた。 しつこかったマスコミの車も見当たらない。 つい、半年前までは毎晩カーチェイスのようにマなスコミの車をまいて逃げていた事が夢のようだ。 「運転手さん、あれマスコミだからまいて下さい!」と叫ぶと運転手は「は、はい」と答えたあと無言で私が潜む隠れ家、大阪のホテルまで飛ばしてくれた。 抜け道をあっちこっち、坂を登り降りするので私は少し気持ち悪くなってしまった。 でも、まるで007のヒロインになった気分は悪くはなかったわ。 そう、私はいつも注目を浴びていたいの、誰かに追われていたいの、 例えそれが一般の世間から褒めらる事では無くても‥ 小さな小さな世界、ミクロのセルが有ろうが無かろうが、私は知らない。 私が有名になる事、それ以外に何の意味があるの? お蔭で私は有名になった、アカデミー賞をとった映画女優より私の方がパパラッチの数は多かった筈 次は何が起こるのかしら? 何を始めようかしら? 次なる野望に身をわななかせながら、新しい庇護者が来る前にもう一度シャワーを浴びようと考えるオー子であった‥。
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