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ぎゅっと強く握りなおすと、
潤は黙ってあたまを振った。
俯いてるから、表情は全くわからない。
「……来て」
俺の袖を掴んだまま潤はタクシーを拾うと、
俺に乗るように促した。
連れてこられたところは……
何度も送ってきたことがある、潤のアパート。
潤は黙って部屋の鍵を開けると、
俺の袖を引いた。
仕方なく靴を脱いで上がる。
床に座った潤の隣に腰を下ろすと……
初めて潤の方からキスしてきた。
「……嘉納くん、好き」
潤んだ目。
上気した頬。
別れ話を切り出されると思ってただけに、
なにがなんだかわからない。
「嘉納くんが好きなの」
胸元を押されて、押し倒された。
床の上から見上げると、
潤が俺の胸に手をついて上から見つめてた。
「嘉納くんが好き、だから」
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