第1章

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その場所は当時の私達が自力で作った秘密基地。 廃材置き場から引っ張り出して運んでは組み立てて、何とか形に出来た不恰好な物だけど当時は自慢だった。 今その場所に全員が立っている。 あの子の首だけが発見された時、私はブローチの事を警察に話そうとしたが仲間の男子に止められた。 そして体を見付けれたかも知れない秘密を抱え、私達は今まであの子を忘れていたのだ。 感傷も程々に、違う部分がないかを皆で探し始めた。 実は私はあの後何度も一人で訪れて泣いて謝ってたので目星はつけていたのだ。 少し山になったそこを拾った枝でつついて軽くほじくり返すと、見覚えのある布地が見えてきた。 私は見付けると皆を呼んで掘り出す作業に切り替え、ようやく最後に見たあの子の服が骨と共に出てくる。 後は鬼が名前を呼ぶだけ。 最後の鬼になった、まー君を見ると顔が蒼白になっていた。 「おれ…名前覚えてない。どうしよう」 仕方ないので教えようとすると口が開かなくなった。 周りに助けを求めようとしたら、まー君以外は私と同じ状態。 時間はどんどん過ぎていき、彼は殆ど死人の様な顔で呟き始める。 ちょうど0時。 「残念でしたー! 駄目なまー君はあたしの代わりに決まったから頑張ってね!ばいばーい!」 あの子が現れてそう言うと彼の姿は無くなっていた。 「彼はどうなったの?恵美ちゃん」 「まー君はアイツと終らないかくれんぼ鬼をしてるよ? そんな事より、皆ありがとね!あたし皆がここで泣いてたの見てたの! まー君だけは忘れてたけどね?だけどこれで天国に行けるよ! あたしはここまでだったけど、皆は頑張って生きた後に沢山お話聞かせてね? じゃ、今度こそばいばーい!」 恵美は嬉しそうに手を振り光の中に消えていった。 今思うと仲良くしてたのに、泣いてもくれなかった事を恨んでたのかもしれない。 彼の事もどうにかしてあげたいけど、どうすればいいのか分からないので私達だけが彼を忘れず、消えた日を命日にして花を捧げていこうと思う。 それにしても恵美が言ってたアイツって何者だったのか未だに分からなくて、考えると何故か悪寒がするので考えないように最近は心掛けている。 「見ーつけた!」
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