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小指に付けて口に運ぶ
「しょっぱい、です」
「ただのナトリウムだからね。」
「からかったんですか」
「いいえ」
先生が、今度は親指で粉を掬った。
「じゃ、これは?」
唇がトントンとつつかれる。
背中に体温を感じる。
指しか直接触れていないのに逃げ出せない。
力で抑えつけられてるわけじゃないのに、息が出来ないほど。
焦らすように親指の腹が唇をなぞる。
「舐めて」
こじ開けられた。
「噛んでも良いよ」
居場所をなくして引っ込んだ舌の側面を指が掠めた。
ふっと先生の息が耳にかかる。
ゆっくりと咥内を親指で練り、残った指は耳と顎を爪弾く。
指を抜いて、先生は口を拭いてくれた。
「もし、さっきの塩と違うものを感じたのなら、それは脳の錯覚だよ。」
笑っているのが憎らしい
「おや」
手をのばして頬に触れる。
「そんなに怯えなくてもいい。
塩が付いていた」
そう言って、見せつけるように指の先を舐めとった。
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