16人が本棚に入れています
本棚に追加
「せっかくですが、もう卒業ですから役立ちそうに無いですね。
言葉だけでは不満ですか。
ご褒美でもあると思ったんでしょう」
トントンと本を揃えながら言う。
「そんなこと、思ってません」
「そうですか。
ああ、おめでとうございます。」
「それはさっき聞きました。」
先生が眼鏡を外して拭いている。
「違う意味ですよ。楠本さんに初めての彼氏が出来ておめでとう、です」
「え?」
「可哀想に、若いのに耳が遠いんですか」
「彼氏なんて居ません」
「目の前に居ますが」
「………しばらく受験勉強で睡眠不足だったので、帰って寝ます……」
「それはいけないですね。よく眠れるバスソルトを調合してあげましょう。それとも……
ご褒美の方が良いですか」
最初のコメントを投稿しよう!