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その日は妙に寝つけないでいた。
豆電球の明かりの下、足元の本棚の辺りにぼんやりと小さな影が窺えた。
小さな人の形をしたそれは、人形。
体が動かない!?
人形は瞬きする度に近づいて、声が出せないと分かっていながら助けを呼ぼうとした。
目の前にやって来たそれは私の顔を覗いて、にぃ……っと笑った。
後で思い出したことだが、あの人形は昔、大事にしていたものだった。
もう遊ぶこともなくなり顔も名前も知らない母の知人の子にあげたのだが、彼女が着ていた服も当時のまま。
もし、あのまま金縛りが解けていなかったら……。
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