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「それじゃぁ君がカヅキちゃんに相応しいか、試させて貰うよ」
距離を取って殺気を放ち、彼女は告げ構える
「おう」
俺も構え、呟く
「雛桔梗、全力ガード。できれば迎撃も」
【はい、我が主】
奴が動いた瞬間、俺は両腕をクロスさせる
ギィン、と金属がぶつかる音がし、次いで俺の脇から展開されたナイフが、彼女の腹部を貫いた
「なるほど、攻防で魔武器と役割分担をして負担を軽減か。良いね」
いや、貫かずに通過した
加えて防いだ筈の刃も俺を通過して行き
「でも、それだけじゃダメだね」
彼女の言葉と共に刃が斬り返えってくる
「っ!!」
俺は驚き、彼女の腹部を蹴って離れた
「驚いた?それってISでしょ?油断してたでしょう?」
クスクスと笑みながら彼女は言う
「・・・ちっ」
俺は舌打ちして、睨み付ける
「良かったね死ななくて」
「お前は、俺を殺したくて仕方ないだろ? カヅキに怒られるからしないだけで」
言うと、彼女は首を傾げた
「そんな訳無いじゃない」
「嘘つけ。本当は男のくせに」
指摘すると、奴は苦笑した
「何で分かったの?」
「仕草、立ち居振る舞い、言葉遣いの端々から。俺、日舞の家元の息子だから。女形で、女性の振る舞いとか叩き込まれるし」
ため息をつき、肩を竦める
「そう、まぁ今は関係無いかな?」
「だな。んで、まだやるか?」
俺は構え直す
「そうだね、君はカヅキちゃんに相応しいとは言え無いね」
ニコリと微笑み、奴は刀を構えた
あー、悪いカヅキ
また死ぬわ、俺
力の差は歴然だしな
「安心してよ、殺さない様に努力してあげる」
「ははっ、そりゃありがたいな」
その後、切り刻まれ、俺は庭に転がる
奴は先に戻った様で、ここには居ない
「っつー・・・」
【大丈夫ですか、我が主?】
魔武器の雛桔梗が、心配してくる
「大丈夫・・・だと、思いたい・・・」
「我が主、肩を貸すぞ」
使い魔のレヴィが、俺を起こし、木に寄りかからせてくれた
「・・・ヤベェ、戻れねぇな」
全身血塗れ、服もズタズタ
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