気づいたら異世界へ

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「ナツキ様、マスターが帰りをお待ちです。お迎えに上がりました」 そう思っていると、カヅキの使い魔が姿を表す 「あー・・・悪い。俺の分、残しといてって伝えてくんね?」 軽傷は塞がってきたものの、重傷部分は未だに血が流れている こんな姿、カヅキに見せたく無い 情けないしな 「嫌です、マスターに貴方を連れて来る様に命じられています」 「えーと・・・義妹ちゃんが泣きそうなんで、せめて寝室の中に連れてってくれません?」 かなりの妥協案 これでダメなら、もうダメだ 「却下です、それはマスターが決定します」 「・・・はい」 もうダメだ、これ 使い魔は俺を抱え、リビングに飛ぶ 「御苦労サクヤ、ナツキにナノマシンをブチ込んでやれ」 担がれたまま、何かを差された と、傷が治っていく 「俺の愛が詰まってるナノマシンだから効くだろ?」 「そーだな・・・」 やっと降ろされた時、完全に傷が塞がっていた というか、この状態で飯は食え無いんだがと、カヅキを見る 「風呂入って来い、急げよ?飯が冷める」 言われるまま、風呂に入った 「・・・あー、情けねー・・・」 なけなしのプライドが崩れた気分だ 「我が主、そう落ち込むで無い。何なら、我が主の恋人にでもなろうぞ?」 「いや、やめとくわ・・・」 なんか、もー・・・疲れた 上がると、俺サイズの服が置いてあり、感謝しつつきて食卓へ行く 「素人が1人前に落ち込んでんじゃねーよ、ほら食え食え」 チーズの匂いがするハンバーグに舌鼓を打ち、夕飯を終える 気に食わなかったのは、俺をズタボロにした奴も一緒だったってところか 「負けて悔しいか?ナツキ」 食後、ぼんやり窓の外を眺めていると、カヅキが声をかけてくる 「あぁ、悔しいよ。でも、敵わなかった」 本当は、今この瞬間消えてなくなりたかった 好きな女の前で、醜態を晒してしまったから 泣きはしない、ただ、カヅキの顔が見れなかった
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