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瞬は、電車の一件を
北原にも、神宮寺にも告げられずにいた。
神宮寺が、
瞬に一緒に猫探ししようかと声を掛けたが、
瞬は首を横に振った。
「猫、
捜してきます」
北原探偵社を後にした瞬だったが、
行くあてもなかった。
ぶらぶらと歩いていた瞬は、
タバコの自動販売機の前で、
見た事のある車を見つけた。
「水元さん」
背の高い男は、
運転席で居眠りしていた。
「瞬君」
目を覚まして周囲を見た水元は、
瞬に車に乗れと合図した。
瞬が車に乗り込むと、
水元は何度も溜息をついた。
「怒られてね。
俺、護衛は本職なのよ」
すごいスピードで走る車は、
瞬の家など遠く離れても止まる気配は無かった。
眠っているかのような水元だが、
車は生き物のように走っていた。
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