第四章 瞬

3/17

341人が本棚に入れています
本棚に追加
/464ページ
 瞬は、電車の一件を 北原にも、神宮寺にも告げられずにいた。 神宮寺が、 瞬に一緒に猫探ししようかと声を掛けたが、 瞬は首を横に振った。 「猫、 捜してきます」  北原探偵社を後にした瞬だったが、 行くあてもなかった。  ぶらぶらと歩いていた瞬は、 タバコの自動販売機の前で、 見た事のある車を見つけた。 「水元さん」  背の高い男は、 運転席で居眠りしていた。 「瞬君」  目を覚まして周囲を見た水元は、 瞬に車に乗れと合図した。 瞬が車に乗り込むと、 水元は何度も溜息をついた。 「怒られてね。 俺、護衛は本職なのよ」  すごいスピードで走る車は、 瞬の家など遠く離れても止まる気配は無かった。 眠っているかのような水元だが、 車は生き物のように走っていた。
/464ページ

最初のコメントを投稿しよう!

341人が本棚に入れています
本棚に追加