0人が本棚に入れています
本棚に追加
次の日からは、彼は一軒一軒家を回って挨拶し、そのあとは僕たちと遊んでくれた。
僕の家に来たのは彼がここに滞在する最後の夜だった。
「なんで僕の家が最後なんだよ」
「そのほうがレンとたくさん話せると思ったんだけどなぁ。嫌だったか?」
僕は即座に頭を横に振る。
「夜ご飯用意します」
「大丈夫だよ、お姉ちゃん。前の家で食べさせてもらったから」
「ここに泊まるの?」
「あぁ」
僕は歓喜の声を上げて、その場でジャンプした。よかったね、とお姉ちゃんは言った。
それから僕は旅の内容を聞かせてくれと頼み、僕が寝るまでの間たくさんの話を聞かせてくれた。
「レンは寝ましたか」
「うん。目をきらきらさせちゃってなかなか寝なかったよ、まぁ、俺も話せて楽しかったけど」
「ところで、私にお願い、とは?」
「そのことなんだけどさ……」
翌朝。
「みなさん、少しの間でしたが、とても楽しかったです。ありがとうございました」
彼は見送りに集まった僕たちに向かって大きな声で言った。
「また来てね、絶対!」
僕も大きな声で返す。
彼は頷くと、手を振りながら朝日に向かって歩きだした。
最初のコメントを投稿しよう!