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「カンナ。きみは人間とグランブを区別している。それも無意識のうちにね。人間の生命は清らかで尊く、グランブの生命は汚れて無価値――きみはそう感じているのか。生命なんて同じさ。人間も、グランブも、どちらもただの生命体に過ぎない。尊厳というものが存在するのなら、それはグランブにも存在する」
「人間とグランブはちがいますよ」
「なにがちがう?」お師匠さまが下からオレの顔をのぞき込んだ。「きみの家族を殺したのはグランブだ。では、それが人間だったらきみはどうするつもりだい? グランブならば消滅させて復讐する。人間なら許すのかい?」
オレはすべての反論を封じられた。お師匠さまの理屈が絶対的に正しいと悟ったからだった。
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