最終章・殺してやる!

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   報告を終えると、その先は言葉にならなかった。オレは声をつまらせて泣いた。血まみれのこぶしがひどく汚らわしく感じて、ジュリアの髪をなでることさえためらわれる。きっとオレはもう戻れないのだろう。はじめて知った。復讐を果たした顛末に押し寄せる虚無感には、孤独をあがなうことでしかあらがうすべはないのだと。家族を失い、友人を失い、オレには振り返るべき道だけが残されている。それを過去と呼ぶのなら、未来などと不確かで陳腐なものになんの価値があるのだろうか。オレはすべてを清算して未来に決別する。 「オレ、どうしようもなく弱いですよね。いつもいつも、誰かに助けられてばっかりなんです」
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