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よって真雪は確信していた。
転入生…彼が来るなら今しかないと、この神憑り的な現状はきっと偶然ではなく必然なのだと。
そして見事、長い歴史の中で培わされた常識を破り、明日転入生がやって来る。
神は存在したのだ。
鼻歌を歌いながら帰宅準備を進める真雪を尻目に尚は保健室の戸締まりをしていた。
いつもならもうとっくに保健室を出ている頃だが、今日は転入生情報に興奮した真雪のせいで遅れてしまったのだ。
「ほら、さっさと出やがれ」
「はーい」
準備を終えた真雪を廊下に出るように促し、消灯をして扉に鍵をかける。
振り返ると明日に思いを馳せる真雪がにこにこと笑っていた。
「…帰るぞ」
「ん?尚君も一緒に帰るの?」
「当たり前だろ」
外はもう完全に日が落ちて暗い。
こんな中真雪を一人で帰すなどと危険極まりない事をするわけがないだろうに。
不思議そうな真雪に、尚は本日何度目かの大きな溜め息を吐いたのだった。
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