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整えられていない黒髪に顔の上半分を覆う野暮ったい瓶底眼鏡ときちりと着込んだ制服、その姿は良くて平凡悪くてオタクと称される。
だがそれは仮初めの姿に過ぎず、鬘と眼鏡に隠された彼の真実の姿は美少女顔負けの見目麗しい美少年。
では何故変装をしているのかと言うと、自身の容姿に無自覚な“彼”の周囲が彼が家の都合で男子校に転入すると聞いて心配して張った予防線だ。
転入した先の学校で、明るく元気で純真無垢な彼に惹かれていく者は絶えない。
中には学校の人気者も多く、彼を良く思わない親衛隊に軽い嫌がらせから度を越したいじめまで様々な事をされるが、それを乗り越え親衛隊と和解しついに認められる。
最後はまさにハッピーエンド、大団円。
他にも、元不良で現役不良の生徒会・風紀に探されているパターンや過去ありトラウマ持ちでそれを周りと克服するパターン等もある。
それら全てに共通するのは“彼”もとい『王道転入生』は総じて愛され屋で総じて受け身である事。
腐の付く人々にとっては萌えを運ぶ神の様な存在なのだ。
天気が良い。今日という目出度い日には相応しい空模様だ。
蘭学園の生徒達にとっては形だけの入学式が終わってからまだ一月半程しか経たない現在、待ちに待った転入生がついにやって来る。
この日を蘭学園の公認王子以上に楽しみにしていた者は居ないだろう。
寝る間を惜しんで転入生が起こすであろうイベントを除き見る計画を立てていたくらいだ。
しかし、現実はそこまで真雪に甘くはなかったが。
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