第1章

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「オレが里奈とは何もなかったって信じてくれないの?」 ミユキの傷を根深くしたのは、悪かったと思うけど オレの女は……妻はミユキだけで それは絶対揺るがない事実で オレの気持ちも汲んで欲しいのに ミユキはオレのした事ばかりを責めるのか……。 ミユキが複雑な表情を見せて、俯いた。 「許してあげたいと思うよ? リューマの事信じたいし……」 ミユキは何かの感情に囚われているように見える。 オレを信じられなくしている何かが……。 「オレを信じてよ。オレが愛してるのはミユキだけなんだから。 オレは一生ミユキだけを愛するって誓ってミユキと結婚したんだよ。 ミユキは違ったワケ?」 ミユキはオレと視線を合わせずに黙々とチキンライスを口に運んでいる。 そんなミユキの態度にオレは苛立ち始める。 「答えろよ」 視線を合わせようとしないミユキを真っ直ぐ見据えながら 低い声で言葉を投げかけた。 ミユキはチラッとオレを見ると、オレの様子に戸惑いながら、また涙を溢れさせた。 「里奈さんも……ひどいよ。私に当てつけるみたいにリューマにキスマークつけて……。 私の事バカにしてる!」 ミユキは感情を露にしてフォークをギュッと握りしめた。 「…………」 「オレ……どうしたらいい? どうしたら、ミユキに許してもらえる?」 「もう二度と……里奈さんに触れさせないで。 リューマは私のなんだから……!」 ミユキが、滅多に見せない独占欲を見せて、 絞り出すように言ったのを オレは驚いて、 俯いているミユキをジッと見つめた。 じわじわと優越感が沸き上がるのを感じて 口元が緩みそうになった。 ミユキにそうゆう風に言われるのが こんなに嬉しいなんて。 「ミユキ、これ食べたら一緒にシャワー浴びよう。 オレが欲情するのはミユキだけだって、思い知らせてやる」
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