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「だ!騙された!
こ、このことはどうかご内密にお願いします」
「わかってるよ」
成宮さんがふっと微笑んだ。その視線が私に留まる。
指先が、ゆっくりと頬を撫でた。
熱を持つ瞼に触れると、彼は切ない声を洩らした。
「目が...腫れてる。なにがあったんだい?」
「いやべつに、気にしないでください。大したことじゃないので」
「大したことじゃない?
君は時々自分に嘘をつくよね。
どうして、自分で全部抱え込もうとするんだい」
成宮さんの手が伸びた、
熱を持った瞼に、彼は優しく唇を押し当てた。
「少しでいいから、その荷物。僕に預けてくれないか?
佐藤さん。
この前の答え...聞かせてくれるかな」
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