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私の斜め右の席へと彼は腰をおろし、長い足を邪魔そうにくむ。
顔をずいっと近づけると、左側の口角をひきあげて笑った。
その笑顔に寒気を感じて、立ち上がると、
彼がしゃべり始めた。
「しかし、つくづく君とは縁があるね。
まさかこのホテルで再会するとは思わなかったよ。
既に、ここを出て、
僕も小栗君もGE社のマンションへと移動したって言うのに」
彼の言葉に、驚き視線を合わせた。
それを待っていたかのごとく、満足げに彼は微笑む。
「小栗君に逢いに来たんだろ?」
「別に、観光で、きただけだから。
ここのホテルだって、懐かしいなと思って、
入ってみただけで、
別に小栗に逢いに来たわけじゃないから」
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