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「懐かしい友人に声をかけようとすることが、おかしなことかい?
リヨンにまで別れた男に会うためにやってくる君のほうが、
よっぽど尋常じゃないと思うけどね。
それとも、ただの旅行としらを切りとおすんだったら、
それでもいい。
観光にきたのなら
僕がリヨンの見どころを案内してあげてもいいけれど?」
「あなたに案内してもらう筋合いないから」
「そうじゃあ、僕は家に帰るとするかな」
「ちょっとまって」
つい彼を呼び止めてしまった。
「観光するんだろう?」
全てを見切った眼で彼は言う。
時間ばかりが過ぎてゆく。
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