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ローヌ川とソーヌ川にはさまれた地区。
コンクリートの壁が覆われた場所へとやってきた。
GE社のロゴマークがコンクリートの壁一面に刻まれている。
その奥に聳え立つ高層ビル群が見えなかったら
ここは、外へと出ることを禁じられた人々を収容する牢獄のようだ。
格子状のゲートの前で阿部は立ち止り、
人が一人分通れる扉を開けて、私を待ってる。
その中へと足を踏み入れると、
私の鼻先を紫色の蝶が通り過ぎていった。
奥へと立ち並ぶ高層マンションを取り囲むようにして広々とした、
広場が設置されていた。
色とりどりの花壇に植えられた花が、美しく咲き乱れていた。
高い壁の奥に広がる開放感のある空間に、感嘆の声を上げた。
「ここ一体がGE社の所有する土地なんだ。
GEの社員はこの中で生活をしている。
小栗君が棲むのは、このビルだよ」
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