キスフレ2nd kiss Vol.28

33/40
前へ
/40ページ
次へ
ローヌ川とソーヌ川にはさまれた地区。 コンクリートの壁が覆われた場所へとやってきた。 GE社のロゴマークがコンクリートの壁一面に刻まれている。 その奥に聳え立つ高層ビル群が見えなかったら ここは、外へと出ることを禁じられた人々を収容する牢獄のようだ。 格子状のゲートの前で阿部は立ち止り、 人が一人分通れる扉を開けて、私を待ってる。 その中へと足を踏み入れると、 私の鼻先を紫色の蝶が通り過ぎていった。 奥へと立ち並ぶ高層マンションを取り囲むようにして広々とした、 広場が設置されていた。 色とりどりの花壇に植えられた花が、美しく咲き乱れていた。 高い壁の奥に広がる開放感のある空間に、感嘆の声を上げた。 「ここ一体がGE社の所有する土地なんだ。 GEの社員はこの中で生活をしている。 小栗君が棲むのは、このビルだよ」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

638人が本棚に入れています
本棚に追加