キスフレ2nd kiss Vol.28

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簡単に阿部さんは説明をした後、 胸ポケットから取り出したカードキーを、 ガラス張りのマンションの入り口にあるセンサーに充てると扉が開いた。 どうやら社員証が部屋に入るためのカギとなっているらしい。 木目のパネルが貼られたエレベーターの34階のボタンを押すと、 静かにエレベーターが上がり始めた。 外の景色は、肩より上に位置する場所を30センチだけ、 まるでお菓子の紙箱の切り取り線から くるりと一周切り取ったかのように、ガラスのパネルがはめ込まれていた。 丁度視線の位置にある場所から、 箱の外側を眺めると、同じ形をしたマンションと、 先ほどの広場が見えた。 小さな池やテニスコートなどの敷地全体が捉えることが出来る。 そして、リヨンの街並みが広がっていった。 徐々に上昇による世界の変化についていけず、 空気の圧迫に眩暈に似た感覚に酔いはじめる。 時差ボケと相まったせいか、頭痛がする。
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