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簡単に阿部さんは説明をした後、
胸ポケットから取り出したカードキーを、
ガラス張りのマンションの入り口にあるセンサーに充てると扉が開いた。
どうやら社員証が部屋に入るためのカギとなっているらしい。
木目のパネルが貼られたエレベーターの34階のボタンを押すと、
静かにエレベーターが上がり始めた。
外の景色は、肩より上に位置する場所を30センチだけ、
まるでお菓子の紙箱の切り取り線から
くるりと一周切り取ったかのように、ガラスのパネルがはめ込まれていた。
丁度視線の位置にある場所から、
箱の外側を眺めると、同じ形をしたマンションと、
先ほどの広場が見えた。
小さな池やテニスコートなどの敷地全体が捉えることが出来る。
そして、リヨンの街並みが広がっていった。
徐々に上昇による世界の変化についていけず、
空気の圧迫に眩暈に似た感覚に酔いはじめる。
時差ボケと相まったせいか、頭痛がする。
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