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「スイス製の高層階用で、最速のエレベーターを搭載しているんだって。
1分で1080メートルの速度だから、
車でいうと時速60キロほどのスピードで上昇していることになる。
通常のビルのエレベーターより10倍以上速いわけだから、
慣れないうちは、暫く気分を悪くしてたものだ。舞は平気かい?」
「だ、大丈夫」
「顔色悪いよ?」
頬に触れようとしたその手からすり抜けたら、
丁度のタイミングで扉が開いた。
その隙間に体をねじ込むようにして外へと出ると、
降り注ぐ光の中へと降り立った。
広いエレベーターホールの正面に
GE社のロゴマークの形が
青と白のガラスで形作られたステンドグラスの壁だった。
その壁の向こう側にはリヨンの夕陽が落ちる雄大な景色がある。
視線を上にあげると
ガラスのロゴマークの上に十字架のマークが、はめ込まれている。
降り注ぐ夕日がホールに落ち、
十字架とGEのマークの影が床を埋め尽くしていた。
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