キスフレ2nd kiss Vol.28

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「スイス製の高層階用で、最速のエレベーターを搭載しているんだって。 1分で1080メートルの速度だから、 車でいうと時速60キロほどのスピードで上昇していることになる。 通常のビルのエレベーターより10倍以上速いわけだから、 慣れないうちは、暫く気分を悪くしてたものだ。舞は平気かい?」 「だ、大丈夫」 「顔色悪いよ?」 頬に触れようとしたその手からすり抜けたら、 丁度のタイミングで扉が開いた。 その隙間に体をねじ込むようにして外へと出ると、 降り注ぐ光の中へと降り立った。 広いエレベーターホールの正面に GE社のロゴマークの形が 青と白のガラスで形作られたステンドグラスの壁だった。 その壁の向こう側にはリヨンの夕陽が落ちる雄大な景色がある。 視線を上にあげると ガラスのロゴマークの上に十字架のマークが、はめ込まれている。 降り注ぐ夕日がホールに落ち、 十字架とGEのマークの影が床を埋め尽くしていた。
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