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近くにある24時間のファミレスにでも行こうかと、
通りをとぼとぼと歩き、光の集まるほうへと進んだ。
住宅街を抜け、外堀通りへと出る。
大通り沿いを走る車は耐えることなく、
ひしめき立つビルの中からは、笑い声をあげる人々が
時折吐き出されていく。
楽しげな声が響く中にいるほうが、
今夜は寂しさを紛らせる気がする。
すると、息を切らして私の名を呼ぶ男が
近づいてくることに気づいた。
「佐藤!」そう呼んだ男は、
肩で息をしたまま私の前で立ち止まる。
「ど、どうして?なんで戻ってきたの?杉田君は?」
「ひとりで帰った」
「大丈夫?あの状態で、
このまま歌舞伎町辺りで一人三次会始めてるんじゃないの?」
私は心配になって小栗に尋ねた。
だが彼は無言で首を振る。
「杉田は大丈夫」
「あ、そう。ならいいんだけど」
無言の小栗は俯いたままで私も何を話していいかもわからない。
二人きりの空気が重い。
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