キスフレ2nd kiss Vol.29

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最速のエレベーターは、一度降りると、 次の行動まで暫く時間がかかるのだろうか? 電子ロックのキー音が響き、からからという音が近づいてきた。 それと同時に廊下を歩く音も近づいてきた。 一瞬、阿部さんの姿に思えたが、そこにいたのは小栗だった。 冷たさを感じるほどに、無表情のまま私の赤いスーツケースを差し出した。 「ワスレモノ。こんなでかいもの忘れるなよ」 「うん。ごめん。ありがとう」 小栗は、胸から取り出したカードキーを エレベーターに刻まれたGEのマークにあてると、青く光り始めた。 「センサーキーがないと、エレベーター動かないんだ。 気づかなくってゴメン。来客者今までカウントゼロだから」 「そうなの?」 「セキュリティが厳重でさ、 事前に面会の連絡を貰って GE社の審査をパスした人間しかこの棟には入れないの。 だからさっきスティーヴが、佐藤を見てすごく驚いてた」
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