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最速のエレベーターは、一度降りると、
次の行動まで暫く時間がかかるのだろうか?
電子ロックのキー音が響き、からからという音が近づいてきた。
それと同時に廊下を歩く音も近づいてきた。
一瞬、阿部さんの姿に思えたが、そこにいたのは小栗だった。
冷たさを感じるほどに、無表情のまま私の赤いスーツケースを差し出した。
「ワスレモノ。こんなでかいもの忘れるなよ」
「うん。ごめん。ありがとう」
小栗は、胸から取り出したカードキーを
エレベーターに刻まれたGEのマークにあてると、青く光り始めた。
「センサーキーがないと、エレベーター動かないんだ。
気づかなくってゴメン。来客者今までカウントゼロだから」
「そうなの?」
「セキュリティが厳重でさ、
事前に面会の連絡を貰って
GE社の審査をパスした人間しかこの棟には入れないの。
だからさっきスティーヴが、佐藤を見てすごく驚いてた」
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