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……
目を開くと、白い天井が見えた。
まるで光でできているかのような、綺麗過ぎる白。
そろそろと身を起こしたとき、入口のドアがスライドした。
「……嵐君……」
「よかった。目、覚ましたんだ」
ほっと胸を撫で下ろし、近付いてくる嵐君。
「大丈夫? どっか、苦しいとか痛いとかない?」
「うん。あの、ここ……」
「ああ、病院。急にいのりさんが意識失って倒れたから、連れてきた。ほんと、びっくりしたよ」
ベッドのすぐ側に置かれていたパイプ椅子に座り、彼は深い溜め息をついた。
「過労だって。食事と睡眠が、きちんと取れてなかったんじゃないかって、お医者さん言ってたよ」
「ご、ごめんなさい」
「ただでさえ弱ってるところに、青司君が無理させたんだろうけど。……美咲さんにチクっちゃおうかな」
「それはやめて」
僕は全力で首を横に振った。
「青司君、珍しく取り乱してたよ。あれは、早く気付いてあげられなかった自分に苛立ってたんだろうな」
「え……」
「ついさっきまで、いのりさんの側にいたよ」
夢うつつに感じていた手の温かさ。夢じゃ、なかったんだ。
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