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「……時間だ」
午前零時過ぎ。僕は嵐君に教えてもらった通りにラジオを準備して、番組が始まるのを待った。
嵐君の方から自分の仕事について話してくれることはほとんどないので、妙にドキドキした。
『……はい、今週も始まりました!』
この声は、聴いたことがある。おそらく、ボーカルのひとだ。
『本日は、ゲストとして狩野嵐君をお招きしています。俺達のPVを踏み台にして、今人気急上昇中のモデルさんですね』
『ちょ、その紹介やめてくださいよ』
あ、嵐君の声。
苦笑を帯びている。
『人聞きの悪い』
『事実、事実』
ボーカルのひととは別の声。今まで聞こえてきた声の中で、いちばん低い。
『では、今日はボーカルのレンとドラムのリュウ、さらにゲストのカリノ君の三人でお送りしていきまーす』
低い声は、ドラムのひとだったらしい。
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