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「……僕は、今回のことを彼に話すのは甘えだと思ってた。甘えたくないから、話さなかった。けど、それは間違ってた」
「そうだね。いのりさんが、人に無遠慮に寄りかかるようなひとじゃないって、俺も青司君も知ってるし。頼ってくれたら、こんなことにはならなかった」
「ごめん……」
ていうかさ、と嵐君は人差し指を僕の顔の前に突き出した。
「いのりさん、俺のことばっか心配してるけど。周りに誤解されて困るのは、いのりさんの方だったんじゃないの?」
そう、かも。
年下で、モデルの青年と交際しているだなんて。外聞は、よくないだろうな。
「……僕が男性と付き合っているのは、事実だし。別に、自分のことで何を言われたって構わないから」
「まったく、これだからいのりさんは」
言葉とは裏腹の、優しい眼差しに出会って、僕は何だかくすぐったいような気持ちになった。
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