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どういうことだろうか。
オドオドして真野さんを見ると刹那くんがため息をついた。
「藍那は怒ってるわけじゃないから。基本的に害ないから安心して」
「えっと……」
「そうやって刹那が構うから日比谷さん、嫌なこと言われたりされたりするんじゃん。もうちょっと考えて行動したら?彼女守りたいならさ」
「うるさい。俺は美姫が好きだから一緒にいるだけ。なんで他の奴に邪魔されないといけないわけ?」
「私に言わないでって。日比谷さん、しんどかったら突き放してもいいと思うよ。多分こいつ、日比谷さんに冷たくされたらショック受けてちょっとは静かになると思うから」
「余計なこと言うなよ」
刹那くんは冷たく真野さんを見ると私の手を掴んだ。
「帰ろう、美姫」
「う、うん……」
「日比谷さんがもっと酷いことされても知らないから」
「俺が守るから」
「あっそ」
真野さんはため息をつくと靴を履き替えて歩いて行った。
私はそんな真野さんを呆然と見ていた。
もしかして、お昼休みに呆れたように私を見ていたのは私を心配してくれてたから?
刹那くんの友達は優しい人なんだな。
そう思うと胸の中がポカポカした。
「言いたいこといいやがって」
「真野さん、私の事嫌ってないんだ……」
「は?当たり前じゃん。俺が美姫の事嫌いな奴と友達になると思ってるの?」
「そう、なんだ……」
そう思ったらなんだか安心した。
それから私は刹那くんに笑いかけた。
「ありがとう、刹那くん」
「なんでお礼言うの?」
「なんとなく」
刹那くんの手を握り返して歩き出す。
周りの目はとても気持ち悪かったけど、今は気にならなかった。
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