大好きな彼氏

13/15
前へ
/169ページ
次へ
二人で話しながらお弁当を食べる。 美味しそうに食べてくれる刹那くんに嬉しくなりながら、いつもより多く話してしまう。 すると……。 「あれ?刹那?」 数人の男の子と女の子のグループが刹那くんを見つけて声をかける。 あ……学校の人だ。 クラスは違うけど、刹那くんと話しているところを見たことがある。 派手な外見だから見覚えがある。 「休みの日に刹那に会えるとかラッキー」 「お前誘っても全然遊んでくれないからさー。俺達寂しいんですけど」 「去年同じクラスだったのに、なんか今年になってから話しかけてもくれねーし」 楽しそうに刹那くんに話しかける人達。 嬉しそうな女の子達。 私は俯いてしまって顔を上げられなかった。 どうしよう……。 このまま顔を上げたら、何を言われるか分からない。 だって確かこの人たちって……。 「何?お前、まだ罰ゲーム続けてんの?」 「えー?刹那くん可哀想なんだけど」 「いい加減教えてやれよ。『別に好きじゃないって』『付き合わされて迷惑』って」 「それとも地味子ちゃん、何か刹那の弱みでも握ってるわけ?」 ケラケラ笑う人達に気持ち悪くなる。 この人たちは私が刹那くんの彼女なのが信じられないらしい。 私だってそうなんだから仕方ない。 「なにこれ?お弁当?しかも手作り?いや、興味ない奴からの手作り弁当とかキモイから」 「無理やり食べさせるとか最低」 「毒でも盛ってる?」 ダメだ、ここで泣くな。 私は震える手でお弁当を片付けようとした。 今すぐここから離れないと。 そうじゃないと、泣いてしまうし刹那くんに申し訳ない。 「大丈夫だから、俺らが刹那の事守るし」 「今から一緒に遊びに行こうよ」 早くどこかへ行け そう言われているようで、息苦しくなる。 どうしよう どうしよう どうしよう。 立ち上がりたいのに、お弁当片付けたいのに…… 上手く体が動かない……っ。 固まっていると後ろからおにぎりが奪われた。 え……? 「え、うま。日比谷さん天才じゃん」 「人の弁当勝手に奪うとか、窃盗罪じゃん」 後ろから聞こえた声に振り返る。 そこには真野さんと、刹那くんの友達の森崎(もりさき)くんがいた。 どうして……。 森崎くんはニコッと私に微笑むと、今度は冷たく微笑みながら前にいる男の子達を見た。 「和也(かずや)藍那(あいな)じゃーん」 「え?何?同じクラスだからって憐れんでる?」 その言葉に真野さんがムッとする。 すると森崎くんが口を開いた。 ・
/169ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加