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二人で話しながらお弁当を食べる。
美味しそうに食べてくれる刹那くんに嬉しくなりながら、いつもより多く話してしまう。
すると……。
「あれ?刹那?」
数人の男の子と女の子のグループが刹那くんを見つけて声をかける。
あ……学校の人だ。
クラスは違うけど、刹那くんと話しているところを見たことがある。
派手な外見だから見覚えがある。
「休みの日に刹那に会えるとかラッキー」
「お前誘っても全然遊んでくれないからさー。俺達寂しいんですけど」
「去年同じクラスだったのに、なんか今年になってから話しかけてもくれねーし」
楽しそうに刹那くんに話しかける人達。
嬉しそうな女の子達。
私は俯いてしまって顔を上げられなかった。
どうしよう……。
このまま顔を上げたら、何を言われるか分からない。
だって確かこの人たちって……。
「何?お前、まだ罰ゲーム続けてんの?」
「えー?刹那くん可哀想なんだけど」
「いい加減教えてやれよ。『別に好きじゃないって』『付き合わされて迷惑』って」
「それとも地味子ちゃん、何か刹那の弱みでも握ってるわけ?」
ケラケラ笑う人達に気持ち悪くなる。
この人たちは私が刹那くんの彼女なのが信じられないらしい。
私だってそうなんだから仕方ない。
「なにこれ?お弁当?しかも手作り?いや、興味ない奴からの手作り弁当とかキモイから」
「無理やり食べさせるとか最低」
「毒でも盛ってる?」
ダメだ、ここで泣くな。
私は震える手でお弁当を片付けようとした。
今すぐここから離れないと。
そうじゃないと、泣いてしまうし刹那くんに申し訳ない。
「大丈夫だから、俺らが刹那の事守るし」
「今から一緒に遊びに行こうよ」
早くどこかへ行け
そう言われているようで、息苦しくなる。
どうしよう どうしよう どうしよう。
立ち上がりたいのに、お弁当片付けたいのに……
上手く体が動かない……っ。
固まっていると後ろからおにぎりが奪われた。
え……?
「え、うま。日比谷さん天才じゃん」
「人の弁当勝手に奪うとか、窃盗罪じゃん」
後ろから聞こえた声に振り返る。
そこには真野さんと、刹那くんの友達の森崎くんがいた。
どうして……。
森崎くんはニコッと私に微笑むと、今度は冷たく微笑みながら前にいる男の子達を見た。
「和也と藍那じゃーん」
「え?何?同じクラスだからって憐れんでる?」
その言葉に真野さんがムッとする。
すると森崎くんが口を開いた。
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