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「別に?憐れんだりしてない。日比谷さんは刹那の彼女だし、ただクラスメイトがここにいたから来ただけ」
「は?和也大丈夫?お前もこいつに何かされてる?」
「何かしてるのはそっちでしょ?」
森崎くんの言葉に男の子達が少し眉をひそめる。
真野さんは私の隣に座るとお弁当を指さした。
「もう片付けるの?」
「え……?」
「食べないなら私が食べる。ちょうだい」
「えっと……どうぞ」
お弁当を差し出すと真野さんが卵焼きをつまんで食べた。
「ちょっと待って、本当に美味しい。日比谷さん天才なんだけど」
「相変わらずマイペース発動させてんな、藍那」
呆れたようにそう言って刹那くんも私のお弁当を食べる。
森崎くんも私の前に来てお弁当を食べ始めた。
それを呆然と見ている男の子達。
刹那くんはお弁当を食べながら男の子達見た。
「あのさ」
「え……」
「さっきから俺と友達みたいな感じで話してくるけど、誰だっけ?」
その言葉に固まる人達。
「俺、罰ゲームで美姫と付き合ってるわけじゃないし、弱み握られてるわけでもないから。ていうか、美姫に告白したの俺だし、美姫の作った弁当超美味いから。勝手に決めつけるのやめてくれない?俺がどれだけ美姫の事好きなのか知らないくせに、他人のお前らが美姫の事悪く言うなよ」
刹那くんにそう言われて男の子達は居心地が悪くなったのかその場から去って行った。
「あれ?刹那の友達じゃないの?」
「それを言うなら藍那の友達でもないわけ?」
「私あんな常識無い人達と友達にならないし。人の事簡単に傷つけて楽しんでる奴らの心理、理解できない」
モグモグとお弁当を食べている真野さん。
刹那くんはため息をついた。
それから私を心配そうに見た。
「大丈夫?美姫」
「う、うん。ありがとう」
「怖かったよな」
刹那くんが私の頭を撫でる。
真野さんと森崎くんは私と刹那くんを見て苦笑いをした。
「出たー、刹那の日比谷さん溺愛モード」
「刹那って本当に日比谷さんが好きだよね」
呆れたような顔でモグモグしている真野さんと、呆れたように微笑む森崎くん。
刹那くんは首を傾げた。
「何今更当然の事言ってんの?」
「日比谷さん、嫌だったらすぐに別れるべき」
「おい藍那」
「日比谷さんに捨てられたら刹那絶対に廃人になるだろうね」
「和也、お前まで」
三人の会話が楽しくて笑ってしまう。
それから私は三人にお礼を言った。
「助けてくれてありがとうございます」
「ううん。俺と藍那は友達のお見舞いの帰りだったし、刹那と日比谷さんが絡まれてるのを見かけたから声かけただけだよ」
優しく微笑まれて少し顔が赤くなる。
すると刹那くんが私の手を握った。
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