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「怖い思いさせてごめん。正直、あいつら殴ってやりたかったけど、そんな事したら美姫が怖がるだろうって考えたら何も出来なくて……。藍那と和也に助けられた」
「そうだろうとも。もっと私をあがめろ」
「分かりやすいくらい調子乗ってるね、藍那」
ニコニコしながら真野さんを見ている森崎くん。
私は首を横に振った。
「ありがとう、刹那くん。私が隣にいる事で嫌な気持ちにさせてるのに助けてくれようとしてくれて」
「嫌な気持ちになんてなってない。美姫は俺がどれだけ美姫の事が好きなのか分かってないから……」
「それ、いつも刹那言ってるよね。『美姫が俺の気持ち全然理解してくれない』って」
真野さんの言葉に驚く。
刹那くんは息をついた。
「だって、俺は毎日美姫の事好きになるのに……。それを伝えてるはずなのに全然分かってくれないから」
そう言われて俯く。
好きだと言ってくれるのはとても嬉しい。
私だって刹那くんを毎日好きになっていくから。
だけど、私の事を私が一番嫌いなのに、私を肯定するなんて無理なのだ。
刹那くんには悪いけど刹那くんが私を好きだと思ってくれている事が奇跡だと思っているくらい。
「刹那くん……」
「あのさ、美姫。これから俺達と一緒にいない?」
「え?」
「美姫が困るし、更に嫌がらせされたりして美姫が傷つくの嫌だったから一緒にいるの控えてたけど、もうそんな事言ってられない。さっきみたいなのがまた起きたら、俺は今度こそ本当に相手を殴る。美姫の傍に居て守りたい」
「でも……」
「藍那も和也も美姫の事傷つけない。だから、俺達と一緒にいよう」
そう言ってくれるのはとても嬉しい。
だけど……。
俯いていると真野さんが口を開いた。
「私は日比谷さんと一緒に話せたら嬉しい」
「え……?」
「俺も。刹那から日比谷さんのこと聞いてたけど、話してみたかったし」
「森崎くんまで……」
驚いていると刹那くんがふんわり微笑んだ。
「大丈夫。俺達を信じて」
その言葉に嬉しくなる。
それから泣きそうになるのを堪えて頷いた。
とても暖かい昼下がり。
ぼっちだった私を守ってくれる人たちが私の側にできました。
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