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いいな、刹那くんと一緒に働けて。
「……私も、アルバイトしようかな」
小さく呟くと藍那ちゃんが驚いたような顔をしていた。
「藍那ちゃん?」
「美姫、バイトするの?」
「それもいいかと思いまして。社会経験はあった方がいいと思いますし、将来の役にも立ちますから」
「まぁ、バイトって案外楽しいからいいかもね。でも、刹那が許すかな」
「え?」
「美姫に対して超過保護なのに、そんな刹那がバイトを許すとは思えない。するしないは美姫の自由だから文句言うなって話なんだけどさ」
「そうですよね……」
「とりあえず、バイト決まってから刹那に報告したら?」
「そうしてみます」
「うん。さて、アイス溶ける前に食べなよ」
「はい」
私はチョコミントソフトを食べた。
相変わらず爽やかで甘くておいしかった。
_____________________________……
グランピング当日。
私は刹那くんと一緒に待ち合わせ場所に来ていた。
まだ私達しか来ていない。
「楽しみだな、グランピング」
「便利な世の中になったよね。自分達でキャンプ道具持って行かなくていいなんて」
「凄いよね。テレビで見た時『行ってみたい』って思ってたから、誘ってもらえて嬉しいな」
そう言って笑うと刹那くんも笑ってくれた。
刹那くんと何気ない会話をしていると藍那ちゃん達がやって来た。
咲羅ちゃんは相変わらず市川くんをガン見している。
もう彼氏になったんだから、そんなに見なくても……。
「さて、揃ったし行こうか」
森崎くんはそう言うと私達に微笑んだ。
この間の海の事を刹那くんから聞いたけど、森崎くんはあの子と連絡先を交換することが出来たらしい。
でもお互いどこかに傷があって踏み込めていないって。
……恐らく仲井さんの事だろう。
刹那くんを好きだと勘違いして酷い事ばかりする仲井さん。
どうして、他人の幸せを願えないのだろう。
でも私も自信ないな。
この先刹那くんが私でない誰かを好きになったとしても、応援出来る自信なんてどこにも。
刹那くんが望むなら別れてもいい。
それでも絶対に引きずるだろう。
面倒な女……。
私は小さくため息をついた。
グランピングの施設にたどり着いて大きなテントの中にベッドやソファーなどが置いてあるのを見てワクワクした。
「凄い!綺麗!」
「美姫、本当に可愛い」
「刹那の顔が崩壊してる」
藍那ちゃんにそう言われて刹那くんが藍那ちゃんを睨む。
私は目を輝かせてキョロキョロしていた。
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