波乱のグランピング

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「美姫。近くにアスレチックの施設あるって」 藍那ちゃんがパンフレットを見せてくれる。 正直運動は苦手だけど、藍那ちゃん達と一緒なら絶対に楽しい。 「行ってみたいです!」 「それなら行こう」 藍那ちゃんは刹那くん達を振り返ると口を開いた。 「男子は荷物当番してて」 「なんでだよ。俺の美姫を奪うな」 「あんたは毎日のように美姫独占してるでしょ。たまには私達にも美姫寄越せ」 今にも怒りそうな刹那くんを落ち着かせる森崎くんと市川くん。 私は藍那ちゃんと咲羅ちゃんに手を引かれてアスレチック施設へ向かった。 たくさんの人達で溢れているアスレチック。 楽しそうな子供たちの声があちらこちらから聞こえてくる。 「何からしようか」 「藍那!私あれ!あれやりたい!」 咲羅ちゃんが指さしたものはロープを体に巻き付けて高所から滑り落ちるようなもの。 気絶しそう……。 「楽しそうね」 「ふ、二人で行って来てください」 「え?美姫は行かないの?」 「ああいうのは苦手と言いますか……」 「ごめんね美姫ちゃん!そうとは知らずに!!別の行こう?」 「いいえ!お二人が我慢するのは嫌です!ですから行ってきてください!」 「でも美姫ちゃん一人になっちゃうし……」 「お二人をここから見てます。待ってますから」 そう言って二人を送る。 私は近くのベンチに座った。 こういった場所で一人になるの、久しぶりだな。 最近は誰かしら傍に居てくれたから。 刹那くんと知り合って、付き合えるようになってから世界が変わった。 周りにびくびくしてたのに、藍那ちゃんや森崎くんと友達になれたし、咲羅ちゃんとも話せたし、真凛ちゃんや優香ちゃんや梨乃ちゃんとも仲良くなれた。 市川くんも私に優しくしてくれる。 他校にも瑠偉くん達がいて、私の友達になってくれた。 毎日が楽しすぎてたまに怖くなる。 いつかこの幸せが壊れてしまいそうで。 高校を卒業しても皆は変わらず私と友達でいてくれるだろうか。 いや、そもそも3年になっても友達でいてくれる? このままクラスがバラバラにならなければいいのに。 そう願わずにはいられない。 この幸せは刹那くんがくれたものだ。 皆とクラスが離れてしまったら、また私は一人ぼっちになるんだろう。 私はため息をついた。 ・
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