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そう言ってくれるのは嬉しい。
学校の人と一緒に放課後どこかへ行くなんて、夢みたいだ。
私は何度も頷いた。
そんな私にクスッと笑う真野さん。
「じゃあ約束ね」
「は、はい!!」
「ところで、今日一緒にお弁当食べれる?」
「え?」
「この間のお弁当、凄く美味しかったし。中身も凝ってたから気になってて。良かったら一緒に食べれたらなって」
なんて嬉しい申し出だろう。
頷きそうになってハッとする。
周りから注がれる目線に気づいて俯く。
私はどうしようか迷った。
このまま真野さんと一緒にいたら真野さんが周りの人に嫌なことを言われる。
それだけは避けたい。
私に親切にしてくれる真野さんに、傷ついてもらいたくない。
考えがまとまらなくて固まったままでいると、側に刹那くんと森崎くんがやって来た。
「何話してるの?」
森崎くんが優しく微笑みながら問いかけてくる。
何も答えられなくて俯いていると刹那くんに手を握られた。
「また気にしてる」
「!!」
「周りの事なんて気にしなくてもいいから。俺が守る、信じて」
その言葉に私は顔を上げた。
優しい3人に迷惑をかけたくない。
だけど一緒にいたい。
私は小さく頷いた。
「ごめんなさい……。皆を傷つけたくなくて……」
「私は大丈夫だから。周りに何を言われても無視する」
「藍那最強だね」
「和也だって特に気にしないじゃん」
「まぁね。人に見つからないように陰湿な事するような奴、俺嫌いだし」
「笑顔で本当に毒吐くよね。残念なイケメンって和也の事言うんだよ?」
「あはは、藍那だって残念な美人でしょ?」
「絶対に私、和也だけは好きにならない」
「俺も絶対に藍那だけは好きにならない」
笑顔の森崎くんと無表情の真野さん。
二人をハラハラしながら見ていると刹那くんがため息をついた。
「いつもの事だから、気にしないで」
慣れたような刹那くんの態度に、私もホッとした。
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