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先生が教室に入って来て、友達と話していた人達が自分の席につく。
全員が席に着いたのを確認すると先生が口を開いた。
「今日のホームルームは席替えするぞー」
その言葉に歓喜の声をあげる皆。
私はため息をついた。
席替えなんてしても、私の地獄が変わるわけじゃない。
どうせ私の隣って分かった瞬間、嫌な顔されるだけだし。
そう思って俯く。
順番にくじを引いていく皆。
その間に先生が番号を黒板に書いていた。
私の番がまわってきて私もくじを引く。
刹那くんの隣になれたらいいなって思うけど、そんなの絶対にありえない。
私の運は昔から悪いんだ。
番号を確認する。
書かれいている番号は『21』だった。
黒板を確認すると、窓側の一番前だった。
移動して席に着く。
私の隣、誰だろう。
あまり私に干渉しようとしない人がいいな。
何もしない人がいいな……。
そう考えながら窓の外を見る。
すると隣に人が来た。
「あれ?隣、日比谷さんだ」
「え?」
驚いて振り返ると、そこには笑顔の森崎くんがいた。
隣に座る森崎くんに唖然としてしまう。
もしかして、私の隣って森崎くん?
「良かった、日比谷さんで。隣がうるさいと授業まともに聞けないし。これからよろしくね」
「こ、こちらこそよろしくお願いします!」
羨ましそうに私を見てくる人達はなんとなく見える。
森崎くんは刹那くんと同じくらい人気だし、隣になりたい女の子だっていっぱいいるし。
「前の席、和也?前と一緒じゃん」
声の主を見ると、ため息をつく真野さんがいた。
「後ろ藍那なんだ。前の方の席だし、俺の事盾にして寝るの難しくなったね」
「大丈夫、絶対寝る」
「その決意何?」
真野さんは私を見ると小さく手を挙げた。
「よろしくね、日比谷さん」
「は、はい!」
どうしよう、凄く嬉しい。
真野さんと森崎くんの近くの席になれたなんて。
感激していると後ろの席に誰かが座った。
「俺、超神引きしたかも」
振り返らなくても誰か分かった。
どうしよう……私このまま殺されるの?
「ずっと美姫の近くに居られるとかご褒美じゃん」
「うわ、刹那キモイ」
「藍那に言われても何の感情も湧かない」
振り返るとそこには私を見て微笑む刹那くん。
神様ありがとう。
私、これで少し頑張れる。
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