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それからというもの、休み時間の度に周りに人だかりができてしまう。
私、もしかしたら邪魔じゃないかな。
そう感じた私は昼休みに立ち上がってその場からいなくなろうとした。
すると刹那くんに腕を掴まれた。
「どこ行くの?」
「え……」
「また一人で、どこに行くつもり?俺の事置いていくわけ?」
ちょっと怒ってる刹那くんに固まってしまって何も言えなくなる。
どうして怒ってるの?
私がずっと休み時間の間邪魔してたから?
もっと早くに動けって……。
「ご、め……」
泣きそうになりながら謝ろうとすると周りの人が笑った。
「ちょっと刹那、それは流石に可哀想だって」
「俺らが騒がしくしてたから逃げたくなったんでしょ?ごめんね、日比谷さん」
「あ……」
気をつかわせてしまった。
私は皆に頭を下げて教室を出て行こうとした。
すると今度は真野さんに手を掴まれた。
「日比谷さん、一緒にお弁当食べようって約束したでしょ」
「真野さん……」
「置いて行かれると流石に私も泣く」
「ご、ごめんなさい!そういうつもりじゃ……」
「分かってる。刹那がどうして怒ってたのか分からないからでしょ?大丈夫。刹那、日比谷さんに怒ってるわけじゃないから」
「え?」
真野さんの言葉に首を傾げる。
すると後ろから刹那くんに抱き着かれた。
「ごめん、美姫。イライラした状態で話しかけて。美姫に怒ってるわけじゃないから。泣かせてごめん」
「気をつけなよ、刹那。そんなんじゃ日比谷さんに嫌われても仕方ないよ。DV男みたいな感じになるなよ」
「ならねーよ。てかお前、何勝手に美姫と約束してんだよ。俺だって美姫と一緒にいたいに決まってんだろ」
「少しは遠慮しなよ、刹那」
「お前が遠慮しろよ、俺の彼女なんですけど」
刹那くんと真野さんに挟まれて、何が起きているのか理解しようとしていると森崎くんがやって来た。
「皆で食べればよくない?日比谷さん、困ってるけど」
森崎くんの言葉に二人が止まる。
私は刹那くんに手を引かれた状態で教室をあとにした。
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