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突然何をされたのか理解するのに時間がかかって、それから赤くなって刹那くんを見ようとした。
それを阻止される。
刹那くん!?
「美姫、お願いがあるんだけど」
「な、何?」
「俺にも美姫と同じ弁当作ってって言ったら嫌?」
「え?」
刹那くんのお願いにキョトンとする。
それから私は首を左右に振った。
「そんなの、いつでも作るよ?」
「本当?」
「うん。私の作ったのでよければ。あ、でも……」
「何?」
「どうやって渡そう……」
考えると刹那くんが私を離して隣に座った。
やっと刹那くんの顔見れた。
「朝とかに渡して。そうしたら美姫、周り気にしなくて済むでしょ?」
「刹那くん……」
私の事を考えてくれているというだけで嬉しくなる。
本当に優しいな。
こんな人が彼氏でいてくれるんだ。
「頑張って作るからね」
笑ってそう言うと刹那くんも笑ってくれた。
かっこよくて可愛い、そんな王子様。
人気者で、いつも周りに人がいて人の目を引いてしまうそんな人。
飽きられないように頑張ろう。
刹那くんが私に興味がなくなるまで、頑張って嫌がらせにも耐えよう。
そう考えて私はお弁当を食べた。
その隣で刹那くんもパンを頬張る。
一緒にお弁当を食べるの、久しぶりだな。
「桜、まだ咲いてるんだ」
「うん。今度近くの河原に行って遅めのお花見しようと思ってるんだ。今なら人もそんなにいないだろうから」
「一人で行くの?」
「うん。友達、いないし」
自分で言って悲しくなる。
コミュ障の自分を呪いたい。
「友達がいなくても、彼氏はいるじゃん」
「え?」
「一緒に行こう。そういうの、誘ってよ」
「でも、刹那くんの大事な休みを私がもらってもいいのかな……」
「いいに決まってるでしょ。美姫は俺の彼女なんだし、俺にとっては何よりも優先すべき相手。友達との約束入ってても美姫に誘われたら絶対に美姫の方に行く」
「そ、それは友達との約束を守るべきでは……」
「美姫は俺のお姫様。だから、いっぱいワガママ言ってもいいんだからな」
そんな優しく微笑まれたら、どんどん刹那くんを好きになっていく。
これ以上好きになったら、私はどうなってしまうのか。
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