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二人でお昼を食べて一緒に桜を見て……
この時間がとても幸せだなと思う。
私はお弁当箱を片付けながらため息をついた。
「どうしたの?」
刹那くんに聞かれて自分がため息をついたことに気が付いた。
無意識だった……。
「ごめん、なんでもないの」
「……また隠し事?」
「え?そ、そういうつもりじゃ……」
「俺に相談してもいいんだぞ?」
そう言われて固まる。
それから俯いて首を左右に振った。
「大丈夫」
「本当?」
「うん」
「そうやって無理して、美姫が壊れたら俺は周りをめちゃくちゃにするかもしれない。それでも言えない?」
「そ、れは……」
ちゃんと言えなくて困ると刹那くんが息をついた。
「じゃあ、俺、好きにしていい?」
「え?」
「美姫の事、勝手に守る」
「え!?」
「今まで嫌われるの怖くて強気にいかなかったけど、美姫に何かある前に食い止めないと後悔するし。美姫に嫌われるのは嫌だけど、そしたらもう一度俺の事好きにさせればいいだけだし」
「ちょっと待って、刹那くん……っ」
「彼女が明らかに嫌がらせされてるのに何もしない彼氏なんて、この世から消えればいい」
「そこまで!?」
刹那くんは私の頭を撫でるとふわっと笑った。
「俺は美姫が好きだよ」
「!!」
「これから先もずっと一緒にいるために、俺は好きにする」
刹那くんの気持ちはとても嬉しい。
だけど、そんな事をして刹那くんの今までの生活が変わってしまったら申し訳ないし……。
私は不安になりながら何も言えなかった。
そして私達は一緒に教室に帰った。
その瞬間に向けられる目。
刹那くんの友達は半分呆れたように私を見た。
私が刹那くんを連れ出したと思われているんだろうか……。
刹那くんは教室に入った瞬間に友達に連行される。
いつもの事だ。
一人で教室の隅に行って椅子に座る。
私のいつもだ。
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