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勇馬は、この町を離れ、次の白い世界へと向かった。
次の町は、大きな町だった。
大きな湖があったが、その湖も色がなくなっていた。
もちろん、家の色や、牛や、犬など、家畜の色もなく、花の色もなく、全ての色がなくなっていた。
その光景を見て勇馬は、なんだか心が荒んでいくような気がしてくる。そこで暮らす人々は、どんな気持ちでいるのだろうかとおもう。
その町にも多くの人々が暮らしていた。
人々の目からは、輝きが失われ、うつろな目をしていた。
その中に、幼い少女マリーがいた。マリーは勇馬の姿を目にした途端、かわいい瞳に少し輝きが戻ってきたのだった。
この時、マリーは予感がしていた。
それは、何かが変わるという予感だった。
マリーは、勇馬に声をかけた。
「あなたは、だあれ。」と言うと、勇馬は、
「僕は、勇馬と言います。僕は旅の者で、この白い世界に色を付けているんです。」と答える。
マリーは、さらに瞳を輝かせて勇馬を見つめていた。
「私は、マリーっていうのよろしくね。ここの人達は、色を失って何もかもがなくなってしまったの。」と言うと悲しそうな顔をしていた。
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