第2章 ヴィクトリアの町へ

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マリーは、悲しそうな顔をしています。 「勇馬、本当に明日、ここを出て行ってしまうの。ここに居ればいいじゃないの。だめよ。勇馬いっちゃダメ。」と言うと勇馬にしがみついて、泣いていた。 勇馬は、悲しい表情になって、マリーを見つめていました。 「マリー、この町以外にも、白い世界は、広がっているんだよ。僕は、他の町にも、色を付けなくちゃならないんだよ。それが僕が、やらなくちゃならない事なんだよ。 ごめんね。だから、明日、ここを出なくちゃならないんだ。分かってほしいマリー。」と言うと、マリーの頭をなでるのだった。 マリーは目を真っ赤にしながら、泣いていたが、勇馬の気が変わらないことがわかると、マリーは自分の部屋へと走っていく。 勇馬は、走り去るマリーの後姿を見つめると、何とも言えない気持ちになった。 勇馬は、この短い時間でマリーのことをとても気に入っていた。けれど、マリーの幸せのためには、両親のもとで暮らすのが一番だと思った。 勇馬との旅はどんなことがあるかわからない。だからマリーを連れていくことはできない。
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