第1章 白い霧の中

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そうすれば、あなたがこれからやらなくては、ならないことが見えてくるでしょう。 さあおゆきなさい。 その玉があなたに道を示してくれるでしょう。その玉さえあれば大丈夫です。 ではこれにて失礼いたします。」と、言うと白蛇はわたしの前から消えてしまったのである。 なんとも不思議なことがあるものだとおもっていると、確かに私の手のひらの上に丸い玉が乗っていた。 (本当だったんだ。しかし、この玉は私をどう導いてくれるのだろう。何をさせたいと言うのだろうか。) その日から、勇馬の町には、白い霧が立ち込めて、晴れることはなかった。 そして、その霧は、勇馬の町から、どんどん広がっていき、日本中をいや世界を霧で覆い始めていた。 そして、ありとあらゆるところから、色が消えていこうとしていた。 物には色がついているが、この白い世界になってからと言うものありとあらゆるところから、色が消えていった。 色のない世界は、何だか物足りなさを感じさせていた。 それに、人の心から、躍動感と言うものを取り去っていったのだった。
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