学園

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あの日、異変の初日と言われる日の夜。 学園には訳ありで帰宅出来ない生徒や、する家が無い生徒40人と、当番の独身教師4人、総寮監長、5号寮の寮母さんとその家族で中学生と小学生の娘さん2人を合わせて、48人がいた。 居残り組の生徒の1人で野球部2年の森田翔が夕食のあと、雨上がりの校庭でバットの素振りをしていたところ。 鍵が掛けられている正門を、ガチャーン、ガチャーン、と押し開けようとしている男に気が付き声を掛ける、しかし返事が唸り声だけだったため、居残り組が集められている4号寮で教師に報告する。 「大島先生、何か変な奴が正門の前に居て、門を揺すってます」 「何、変な奴?」 「声を掛けても唸るだけで、返事しないのです」 「どうかしたのか?」 理事長の甥で大学の先輩でもあり、行き場を無くしていた訳ありの大島を、この学園の教師に推薦してくれた木村が声を掛けてきた。 「なんか不審者が居るらしいのです」 「今テレビのニュースに出ている、イカレタ奴で無いだろうな?」 テレビのニュース番組で、東京や大阪など大都市圏で頭がおかしい奴が、ゾンビのように人に噛みつきその肉を咬み千切り、食べている事を告げていた。 「まあ良い、行ってみたら分かるだろ」
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