目覚め

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ゾンビが群がり集まり、逃げ遅れた犠牲者の身体を貪り喰っている。 その中の1体、他のゾンビに比べ背がかなり高く筋骨逞しい身体のゾンビが、腹に入れた人肉を吐き出していた。 自分の胃も一緒に吐き出さんばかりの勢いで吐き出している。 ゾンビは胃の中の物を全て吐き出し、フラフラと縁石に座り込み、頭を抱えて考え込む様な仕草をしていた。 「なんだ、何で……俺……こんな所に居るのだ…………俺の名前は何だっけ…………それより周りの奴らゾンビじゃないか……でも……何で……襲ってこないのだ…………うう、気持ちが悪い」 先程哀れな犠牲者の臓器を引っ張り出した、赤く汚れた両手を見ながら。 「ええ……俺もしかして人の肉喰ったのか…………」 そう考えた途端また気持ちが悪くなり、吐くものも無いのに腹の底から内容物が逆流してくる様な、感覚に捕らわれていた。 「思い出せ……何か忘れているのだよな…………」 その時チラチラと雪が舞い始める。 「え、雪……」 自分の服装を見る、序で周りのゾンビの格好を眺め。 「何で……雪が…………今夏だろ……思い出せ、思い出せ…………」
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