第1章

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一本道で、生ぬるい風が吹いた。 「なんか本当に口裂け女が出そう」 独り言を言う。周りを見渡すが、人はいない。何故か怖くなってきた。 「きもっ」 そう言って、歩いていくと、後ろからうめき声が聞こえた。 振り返ると、女子高生が、歩いて近づいてくる。ふらふらして、あごが上がっている。 ようく見ると、可愛いキャラクター柄のマスクをして、ミニスカートだ。そして、茶髪。 「くかかぁ・・・」 変な声を出して、私の前に立ち止まった。 「なに?もう一回言って」 私が言うと、 「きれい・・・」 女子高生は、苦しそうな声で言った。私はぞっとした。 「あなた、口唇ヘルペスじゃないの?口が人より大きいだけなんでしょ?」 恐る恐る聞く。 「くかかぁ・・・」 その女子高生の可愛いマスクの中から、血が流れてきた。 ――― 私って、きれい?と、言った気がした。本物だ。本物の口裂け女に会ってしまった。 私は、悲鳴を上げると、逃げようとして、走る。しかし、恐ろしい息遣いが後ろから、迫ってきた。全力で走ったが、耳元でけたたましい大声が聞こえた。野獣の声だった。 「食う!」と。
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