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顔を上げれなくて俯いたままギュッと目をつむる。
「退いて……下さい……」
「なんで敬語なんだよ。俺言ったでしょ?普通に話してって」
「それが間違ってるって思ったから……」
「間違ってるって何?俺がお願いしてるのに間違いも何もないよ」
「と、とにかく!私はもう浅田くんに関わらないので……っ」
「そんなの納得出来るわけないだろ!?」
突然大声を出されてビクッとする。
そしてそのまま優しく抱き締められた。
「彩乃はいつもそう。なんで隠そうとするの?なんで俺の事頼ってくれないの?そんなに俺頼りない?」
「ち、違います!!頼りなくなんて……」
そんな事あるわけない。
だって私はいつも浅田くんに頼ってばかりいた。
だから離れようって決めてたんだ。
それなのにいつまでたっても浅田くんに甘えてばっかりで。
きっと何も言わないのは浅田くんの優しさなんだって、そう感じてた。
なのに……。
「甘えてたんです……っ」
「え?」
「浅田くんは優しい人だって、私は小さい時から知ってます。だから一緒にいても突き放される事はないって安心してました。実際そうでした。浅田くんは私を突き放すどころか、本当に優しくしてくれて……」
「そんなの……当たり前だよ」
「幼馴染みだからですか?お母さんが浅田くんに私と仲良くしろって言ったからですか?」
「違う」
「それならどうして……っ」
「俺が彩乃を好きだからだよ」
え……?
一瞬固まってしまう。
今……なんて……。
「ずっと彩乃を見てきた。彩乃の事だけずっと。彩乃が俺にキャラメルくれて、元気づける為に必死で笑ってくれて……。そんな彩乃を、好きにならない方がどうかしてる」
「そ……それは……っ、幼馴染み……として……」
「ううん。俺は本気で彩乃が好きだよ」
そんなの、嘘だ。
私を好きになる人なんて他に……。
そう思ってから頭に浮かんだのは柴咲くんだった。
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