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浅田くんは自分勝手だ。
私の言葉を信じようともしないくせに、自分の事は信じろって言う。
どうせまた信じたら痛い目をみるのは私だ。
もう傷つきたくない。
「俺の事……なんだと思ってんだよ……っ」
「……っ」
「答えろよ!!」
怒鳴る浅田くんが怖くて顔が上げられない。
こんな浅田くんは初めて見るから。
「嫌だ……っ」
「いいから!!俺の事どう思ってるのか言えよ!!」
浅田くんの事をどう思うか?
そんなの昔から変わらない。
大切な幼馴染みで、大切な人。
初めて好きになった人。
特別な、王子様。
私は涙で濡れた顔で浅田くんを睨むように顔を上げた。
「そんなの……、好き……だよ……っ!!」
「っ!!」
「好きになっちゃうに決まってるじゃん!!どれだけ私に優しくしてくれたと思ってるの!?それが全部嘘でも、私は単純だから簡単に落ちちゃうの!!私のものにならないのは最初から分かってた!!それなのに浅田くんが優しくしてくれるから……っ!!」
涙で詰まって言葉が出てこない。
私は浅田くんの腕から抜け出した。
「っ!!彩乃……っ」
「もう私に優しくしないで!!……これ以上……好きにさせないで……っ!!」
じゃないと辛い。
叶わない事なんて分かってる。
なのに好きでいることは凄く辛いから。
「もう……耐えられない……っ」
私は急いで自分の鞄を掴んで教室から飛び出した。
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