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それから、私は野々ちゃん達との連絡を絶った。
メッセージをブロックにし、電話は着信拒否。
酷い事をしてる自覚はある。
でもこれでいいんだ。
私から皆を突き放さないと、私はまた皆の優しさを利用してしまう。
ボーッと携帯を見つめていると1件のメールが届いた。
差出人は皐月くん。
そうだ。
私、皐月くんに何も言ってない。
恐る恐るメールを開くと『親父さん見つかって良かったな』と書かれていた。
皐月くん……。
そういえば、蘭さんとはどうなったんだろう?
両想いだったから上手くいくとは思うけど、お互いが遠慮してたからな。
皐月くんは皐月くんで無愛想だし。
聞きたいけど、私にそれを聞く権利はない。
ゆっくり携帯を置いてため息をつく。
そんな私のもとにお父さんがやって来た。
「彩乃。本当に学校を辞めるの?」
「お父さん……」
「その様子だと、友達が全く居なかったってわけではなさそうだし。いいの?友達に何も説明しなくて」
「……うん」
俯いて頷くとお父さんが優しく私の頭に手を置いた。
「わかった。お父さん、今から学校に行って退学手続きしてくるから。そのついでに、家庭教師も頼んでくるよ」
ただ頷くだけの私に優しく笑いかけてからお父さんは家を出た。
大きな部屋の中に1人でいるのは落ち着かない。
でもする事ないし……。
私は廊下に出てメイドさんに話し掛けた。
「あの……」
「はい、お嬢様」
「えっと……、買い物したいんですけど……」
「でしたら旦那様よりお預かりしているコチラのカードをお使い下さい」
「カード?」
手渡されたカードを見て固まる。
これ……、ブラックカードですか!?
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