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メイドさんは私にカードを渡すとそのまま頭を下げて歩いて行った。
なんでも買えると噂のブラックカード。
その真っ黒なカードを見つめて思った。
これで、秦の気持ちが買えたらなって。
何を考えてるんだ。
秦は物じゃない。
そんな事も分からなくなっちゃったの?
窓の外に広がる青空。
「……会いたいな」
ワガママで自分勝手。
そんな自分が嫌になる。
前に進もう。
「……よしっ」
とりあえず私はブラックカードを財布に仕舞ってから、叔母さんの家から運び出された自分の荷物の整理に取り掛かった。
何かしていないと余計な事を考えてしまう。
そうだ。
お父さんが帰ってきたらご飯作ってあげよう。
私は荷物整理を一旦中止してからキッチンへ向かった。
長い廊下を何も考えずにスタスタ歩いて。
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